Yoko Ichikawa, "Mimic/vibrating body #1", 2026, Lacquer, cowhide, hemp thread, clay, washi paper, H10×W17.5×D17.5cm
GALLERY crossingでは、8月15日(土)〜8月27日(木)の会期にて、漆皮をメデイアに制作を行う市川陽子の個展「cocoon and frame(繭と枠)」を開催いたします。
1985年、大阪府生まれの市川は、京都市立芸術大学で漆工を学んだ後、現在は滋賀県高島市を拠点に制作活動を行っています。市川の扱う漆皮という技法の歴史は、唐より伝わり飛鳥時代にまで遡りますが、木地の登場により歴史の中で一度は途絶えた技術です。市川は、正倉院宝物に残る漆箱、様々な古物、歴史資料と、自らの実験の繰り返しにより、当時の製法とは異なる独自の技法として、現代における漆皮を新たに立ち上げてきました。その制作は、漆と革という素材をベースにしながら、手芸、農、民族学などに影響を受けています。工藝と呼ばれるものが、かつて日々の生活から生まれた個人的なものであったように、彼女の作品の根幹には、編む、縫う、繕うという、暮らしと地続きの手しごとがあります。また、作品の端々に現れる死生観と素材への眼差しは、作品に道具であることを超越した独自の存在感を与えています。
市川が制作と暮らしの拠点とする滋賀県高島市は、かつて養蚕業が栄えた歴史があります。今展では、自宅となる古い建物を解体した際、屋根裏や壁から出てきたという蚕の繭との出会いをきっかけに、伝統や型から抜け出ること、自身がつくる枠の概念、継承や効率化、個人と歴史、生命を扱うことなどへ思考を広げ、制作された作品を発表します。革を捏ねるようにして造形され、有機的な要素を増した箱《Mimic / vibrating body》や、型を用いた新たな取り組みなどをご覧いただける機会です。ぜひご高覧ください。
Yoko Ichikawa, "patchwork cocoon#3", 2026, Lacquer, cowhide scraps, glue, clay, pigments, H7×W26×D16.5cm
Yoko Ichikawa, "Mimic/vibrating body #4", 2026, Lacquer, cowhide, hemp thread, clay, washi paper, pigments, H9.5×W13×D13cm
Yoko Ichikawa, "Mimic/waiting", 2026, Lacquer, cowhide, hemp thread, clay, washi paper, pigments, H9.5×W13.5×D14cm