この度GALLERY crossingは、ニュージーランドを拠点に活動するアーティスト、グレース・マイラスの日本初となる個展「I'm at the river, I'll meet you by the sea(私は川のほとりにいます、そして海であなたと出逢うでしょう)」を開催致します。
マイラスは、版画・スチールワークを主なメディアに、素材性、プロセス、普遍性についての概念を探る活動をしています。今展のため、祖先の物語や土地とのつながりについてリサーチを経て制作された作品は、日本の万葉集に描かれた川辺の風景や、川沿いに位置するギャラリーの土地性などにインスピレーションを重ね、異なる時代・土地・文化の間に共通する普遍的な人間の営みの景色ー川の流域で人間が連綿と重ねてきた物語の断片となって画面に表れます。マイラスの作品は、版画の本質である複製に重点を置く従来の手法をあえて排除し、モノタイプ版画の可能性を探るものです。身体の持つスピード、リズムを感じる大胆なマークメイキングは、画面にのびのびとした質感と形を現し、抽象化され、プリミティブな印象を与えられたイメージは鑑賞者の持つそれぞれの遺伝子的な記憶へと語りかけるでしょう。
8月6日(日)13:30〜14:30にはギャラリーにて、アーティストによるギャラリートークを開催致します。
この展覧会は、ニュージーランドのオーティポリにある私の先祖の土地、具体的には、私の先祖の物語が存在するタイエリ川を巡る物語です。この川が持つ精神的・物理的な営みをたどり、私がこれまでに行ってきたリサーチ、詩や文献の数々を通して、断片的な記憶が具象化され、土地の音が個々の作品を通して響くでしょう。今展では、絹布に刷られた一連の作品が、川と海の間での物語を表現しています。日本での初となる個展に向け、ギャラリーが位置する岐阜県の主流域のリサーチを通じ、この展覧会を、私と故郷のタイエリ川とのつながりをさらに探める機会と捉えました。私にとってアートは学びの手段であり、自分にとって重要な土地に関連する歴史の層について、より深く理解するためのプロセスです。私はこの6年間、版画とスチールワークの領域で活動し、素材と技術への理解を深めてきました。シルク、コットン、手漉き和紙などの素材をスチールフレームにマウントし、時間の経過とともに変化する自然現象とそのテクスチャーに着目しています。今展では、日本とニュージーランドという異なる技術、素材、文化、環境における類似性を探ることで、両者のアート領域のつながりを深めることを目的としています。
グレース・マイラス
【アーティストトーク】
「I'm at the river, I'll meet you by the sea(私は川のほとりにいます、そして海であなたと出逢うでしょう)」
日時:8月6日(日)13:30-14:30
登壇:グレース・マイラス
ゲスト:ユカ・オシャネシー(Public Record)
作家による作品解説、ギャラリートークを開催します。ニュージーランドを拠点に活動するマイラスの視点、作品の魅力の一端に触れていただく機会となれば幸いです。お気軽にお集まりください。