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林 志保

感触をめぐる

2023年10月6日(金) - 2023年10月21日(土)
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13:00-18:00(最終日17:00)
*木曜休業
作家在廊日: 2023年10月6日(金)、7日(土)

林志保、2023、陶

林志保は、1984年神戸に生まれ、京都芸術大学で漆工芸を学んだのち、岐阜県多治見市を拠点に作陶する陶芸家です。林は、約10年になる自身の陶歴を振り返り、自身の制作の中で初期から一貫して取り組むオブジェへのアプローチについて、対象物への祈りや期待ではなく、不可視な存在への知覚として、ヒトカタに限らない造形物であるという点で「現代における土偶的なものとしてそれらを制作しているのかもしれない」と話します。

林の制作する有機的な局面を持つ造形は、たたらにした粘土板を自然石に押し当ててできたランダムな凹凸を起点に制作されています。その過程は、モチーフの抽象化でもなく、自然美の具現化とも異なる意味合いを持ちます。無作為の凹凸から作為ある造形物までに連続する土を介した”感触のめぐり”の中から、命の感触という抽象的なイメージを結実させた作品は、作家本人にも再現し難い偶然を含んだ造形物です。

林の造形イメージの起点となる原体験として、自身が体験した二度の震災、医師である父の影響を受けた人体への興味。そして幼少期から身近であった登山やトレッキングを通じた自然への眼差しの中で醸成された「命の感触」へのアプローチがあります。

日本の陶芸家・伊藤慶二や、フランス人美術家 アネット・メサジェの作品が持つ死生観や両義性(美しさやユーモアと同時に不気味さをもつ)にも影響を受けたというその作風は、林自身の人体・自然へのパーソナルな眼差しを重ねながら、穏やかに領域を広げています。美しさの中、ふとした瞬間に感じる生々しさの存在、わからないものをわかろうとするために触れるという感覚は、さまざまなリアリティが画面の向こう側で虚構のように流れる現代において、私たちが取り戻したい身体性のひとつではないでしょうか。

林志保、2023、陶

林志保、2023、陶

林志保、2023、陶

林志保、2023、陶

身体を通して土を多方向に解放していく
石から象られたカタチは
変容を遂げ「何か」になる
表面は鈍い光をまとい、艶めかしく漂いながら
命の感触へといざなう

林志保

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