GALLERY crossingでは2月10日(土)〜2月25日(日)まで、陶芸家・打田 翠による個展を開催します。手捻りにより追求される豊かなフォルムと炭化焼成により描かれる景色の重なりが特徴的な打田の作品は、素材と技術の探求により表現の幅を広げ、新たな景色を追求しています。本展では、打田の代表的シリーズ「心象」において近年取り組む、青への成果を中心に展覧いたします。
陶芸における焼成に向き合い、自然事象による偶然と自らの意志による表現の関係を追求してきた打田の制作は、窯の中から最良のセレンディピティをすくい取るためのうつわを準備するところから始まります。窯の炎、空気の対流など、アンコントローラブルな事象により描かれる見えない景色を眺め、繰り返すスケッチから作られる造形は、曲線の豊かな印象と穏やかなゆらぎを持ち、炭化焼成による「心象」を纏うことでその魅力を最大限に発揮します。
打田は焼成という行為に主体的に向き合うことで、美しい偶然を自らの意志で引き寄せてきました。打田の真っ直ぐな眼差しは、自ら肯定し、意志を持って自然と共にあることで、この世界は美しいのだと確かめさせてくれるような力強さを作品に付与しています。打田の作品を眺める時、私たちは自らの心内を流れる静かなポエジーに触れ、深く遥かな心象の景色を視るでしょう。淡く漂う青の「心象」を中心に、深まる新境地をぜひご高覧ください。
初日2月10日(土)17:00より、ゲストに與語 小津恵氏(とうしん美濃陶芸美術館学芸員)を迎え、アーティストトークを開催いたします。ぜひご参加ください。