笹川健一の作品と対峙するとき、静かに − 私たちの世界は悲しくも美しいのだということをあらためて感じる。触れれば崩れてしまいそうな器の姿に宿る、儚さ、緊張と永遠性。それは詩的なものの断片のようだが、しかし笹川は素材への情景ではなく、素材との極めて実際的な関わりによって現そうとするという。ガラス作家であり美術家でもある笹川健一が素材の向こうに眺めるものは、悲哀や非情といった日常の地続きでは美と捉えることが難しいものを根底にした美しさ。日本美と解される侘数寄への問いと自身の持つナショナリティへの矛盾をガラスの虚構性に重ねて制作される造形は、うつわの形が持つ潜在的記憶によって個々人の感情と結びつく。私たちの日々の中に生まれては消える刹那の光は、ときに残酷で、同時に強烈な美しさをもっている。今回の展覧会は、近年のライフワークである食器を離れ、原点でもある立体作品をと企画し、数年をかけて準備してきた。ギャラリストとしては、笹川健一という繊細な人物の眼差しの奥にある熱量を魅せていただきたいと心待ちにしていた展覧会。ぜひ多くの皆様と共鳴し、喜びと感動を享受したい。
UPCOMING 笹川健一
侘数寄の感情、その私的解釈
2024年12月14日(土) - 2024年12月28日(土)
GALLERY crossing MAP ↗︎
13:00-17:00
水曜・木曜休業
作家在廊日 12/14
水曜・木曜休業
作家在廊日 12/14
ARTIST
- 笹川 健一 ↗︎