GALLERY crossing

山西 杏奈

親密さ、あるいは温度のような

2024年9月21日(土) - 2024年10月6日(日)
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13:00-17:00
水曜・木曜休業
*9/22 臨時休廊
作家在廊日 9/21

《gaze》2024、トチ

「親密さ、あるいは温度のような」

日常の中でごく当たり前に通り過ぎるような光景、例えば布の皺に落ちる影や重力で垂れる紐といった瞬間的に現れてはいつの間にか消えているようなものごとを掬い取るように形にしている。
特別な何かを表現するというよりは、それ自体があまり意味を持たず大きな物語としては残らないような事柄を扱いたいと思っている。
何を作るかというときに重要としているのは、自分自身と親密な関係を結んでいる”ものごと”であるかという部分だ。そのような対象を眼差すとき、目で見ることの中にはあらゆる知覚の記憶が織り込まれているのではないだろうか。
伝えやすい記号的な情報ではなく、不可視で伝え難い知覚経験を他者と共有することはどのように可能なのかということを手探りしている。

山西杏奈

山西杏奈は、主に木を素材としながら、素材自体の不在性を感じさせるような軽やかなモチーフを扱う。山西の作品を眺める時、鑑賞者は目の前にあるものが「木」であるという事実と、作品が想起させる光や影・重力・空気といった存在を含むイメージとのズレによるとらえどころのない違和感に出逢う。この、作品と鑑賞者の間に生じる、その人、その瞬間にしか成立し得ない感覚体験こそが、本質的には作品の核と言えるだろう。日常の中で見過ごしてしまいそうな機微をすくい取り、ひたむきなまなざしを持ちながら探り当てるように掘り出された形は、そのどれもが静謐な気配と大切な感覚を手元に取り戻す力強さに満ちている。

《brane#2》2024、スギ