GALLERY crossing

アラーナ・ウィルソン、𡧃野 湧、打田 翠、染谷 聡、木下 令子、吉田 紳平

TRANSIENT ENCOUNTER

2024年3月9日(土) - 2024年3月24日(日)
GALLERY crossing MAP ↗︎

13:00-17:00
水曜・木曜休業
[要予約]アーティストトーク: 2024年3月9日(土) 17:00-18:00
*トークのご予約はメールinfo@gallerycrossing.comまで

GALLERY crossingでは3月9日(土)〜3月24日(日)まで、企画展 The Viewing room 03「TRANSIENT ENCOUNTER」を開催します。ギャラリーの取扱い及び、これから展覧会を予定しているアーティストを中心に作品を展覧し、それぞれの視座を共有する企画展シリーズの第3回となる今展は、「Transient Encounter(一時的な出逢い)」をテーマに、歴史・時間・記憶・気配・景など、常に変化するものへの眼差し、不可視なものへの感受性を持つ6名によるグループ展を開催します。

広い時間軸に視野をとり、点と点を細い糸で結びながら、線上に立ち現れるものを掬い取ろうとする行為。固有の歴史・文化を越えた、ものの存在の仕方、関わり方についての考察。記録されず、忘却される運命にあるパーソナルな時への眼差し。これらの作品は脆さや儚さをまといながら、時に射るように鋭い視点を持って《他者の時間を想像し、物事を単純化させずに複雑なまま理解すること》を私たちに問いかけます。ギャラリーの空間で、領域を横断しながら緩やかに出逢い、関係し合う作品を眺め、浮かび上がる景から何を感じるでしょうか。

初日3月9日(土) 17:00より出展作家3名によるアーティストトークを開催します。

アラーナ・ウィルソン《Think Of All The Threads That Bind Us》2017、映像

𡧃野 湧《日月》2024、陶土、金属顔料、和紙、和糊、パネル

打田 翠 《心象》2024、陶

染谷 聡 《みしき#20》Vessel for Landscape#20 2024、漆、枝、金、木、土など

木下 令子《再帰》2024、アクリル、サテン、パネル

吉田 紳平《wife》妻、2024、キャンバスに油彩

[アーティスト]

アラーナ・ウィルソンは古代の壺や器、海や水から強いインスピレーションを受け、陶を主なメディアに作品を制作してきました。実用を主題としない器の表現は、陶芸技術の長い歴史に紐づく古代の人々が生きた軌跡、それらが延々と続く今への時間の流れのメタファーとして用いられ、自然と人間との関係性に問題を提起しています。本展では、2017年に制作された映像作品《Think Of All The Threads That Bind Us》を展示します。

𡧃野湧は、やきものにおける割れ、欠け、破損という脆さそのものに焦点を当てた作品を制作しています。陶技法・素材を用いて描かれるアーティストの個人的な経験や感情を含む「忘れたくない記憶の景色」は、丁寧に保存しようとする行為を重ねる過程でやむをえず崩壊し、こぼれ落ちてゆくというパラドックスを抱え、鑑賞者に可視・不可視の両面から、ものの存在とその遺し方について問いかけます。作品は絵画的要素を持ちながら、その本質は描かれた対象に留まることなく、やきものの深い歴史と接続することで幅広い解釈を誘います。

打田翠は陶芸家としてのキャリアの中で、陶芸における焼成行為に主体的に向き合うことで、美しい偶然を自らの意志で引き寄せています。独自の手法で創り出される色彩と曲線的なフォルムの重なりは、単にうつわの景色を超えて、鑑賞者の個人的な経験や感情に深く結びつき、それらを肯定する強さを持つ造形物です。

染谷聡はこれまで、漆芸における装飾行為に焦点を当て、漆にまつわる意匠を独自の目線で解釈し作品へと展開する様々なシリーズに取り組んでいます。本展で展示する《みしき》Vessel for Landscapeシリーズは、染谷の主観により拾得された枝や石などに対し、それらのためのうつわを制作するというものです。長い歴史・文化的背景を持ち、半永久的に残る漆という素材で作られた容れ物と、いずれ朽ちて変容・消滅するであろうその主体。ユーモラスな造形の作品に垣間見えるのは、工芸における人間と制作物への深い眼差し、過去・未来両方向へ拡がる物語と景色です。

木下令子の絵画は、日光による印画紙の感光、紙の日焼け、皺や折目など不可逆的な現象を持つ支持体に対し、それらの痕跡の上にスプレーガンから拡散される霧状の絵の具を吹き付ける行為により制作されます。一貫して「時間」を題材にし『うつろう時間の経過そのものを絵にすることはできるだろうか』という問いかけを続ける木下の作品には、日常の些末な出来事の痕跡を丁寧に掬い上げ、美しさへと昇華させる尊い眼差しを感じます。本展で発表される新作は、近年制作されてきたモノトーンな作品世界とは対照的に、明るく、軽やかに、世界に潜む一瞬の美しさとの出逢いを感じさせる色調です。

吉田紳平は、自身の家族との別れというプライベートな出来事をきっかけに、ファウンドフォトをモチーフにしたポートレートを制作しています。どこかに存在していた人生、誰かの眼差し、声にならない言葉に想いを馳せて描かれるポートレートは、画面に静謐なヴェールを纏い、詩的な距離感を保ちながら、鑑賞者それぞれの「親密な誰かの面影」に触れます。知らないはずの他者の眼差しが、誰も知り得ない自らの記憶の一片と繋がる時、忘れてしまった遠い記憶や歴史には残らないささやかな景色の存在の重要性ににあらためて気づかされるでしょう。

【アーティストトーク】

「うつろいの視点」

日時:3月9日(土) 17:00-18:00
定員:20名
会場:GALLERY crossing
登壇:𡧃野 湧、染谷 聡、吉田 紳平
聞き手:黒元 実紗(GALLERY crossing)

⚫︎要申し込み・無料
※トークイベントにはお申し込みが必要です。
お名前、電話番号、人数を記入の上info@gallerycrossing.comまでご予約ください。


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